退職勧奨の特徴や実施の注意点

退職した高齢夫婦 企業法務
この記事は約3分で読めます。

退職勧奨は社員に自主退職を行ってもらうために企業が社員に交渉することです。
企業が退職してほしいと考えている社員に話を行う方法なので、一方的に契約解除を通告する解雇とは性質が異なるものだと言えます。
社員の合意がなければ労働契約終了にならないので、これが行われたとしても必ずしも退職することになるとは限りません。

退職を勧めるだけでは受け入れてもらえる可能性が低い

解雇の場合は就業規則の定めや解雇予告、解雇予告手当などが必要とされますが、こちらを実施する場合はこれらが不要です。
そのため、比較的自由かつ容易に行いやすいものだと言えます。
ただし、ただ退職を勧めるだけでは受け入れてもらえる可能性が低いです。
退職勧奨に応じるだけのメリットがなければ辞めない可能性が高いため、退職することのメリット、退職しないことのデメリットを示すことが一般的だと言えます。
たとえば、辞めるのであれば退職金を加算する、再就職先を紹介する、有給休暇を追加で付与するなどの条件を提示することが可能です。
反対に、このまま在籍していても業績が伸び悩んでいるので昇給や昇進は見込めない、今後はボーナスがカットされる可能性があるなどのデメリットを伝えることもできるでしょう。
打診した社員から合意があった場合は、提示した条件を守って労働契約を終了させることができます。

退職勧奨が問題になるケース

解雇と比べると比較的自由で容易だと述べましたが、実施方法によっては問題になることがあるので注意点を知っておくべきです。
従業員を退職に追い込む行為は退職強要となり、裁判を起こされる可能性があることを知っておきましょう。
明確に退職する意思がないことを伝えられているのに継続して打診したり、長時間かつ執拗な退職勧奨を行ったり、長い時間部屋に留めて話を行ったりするようなやり方は問題です。
他にも、無視や仕事を回さないなどの嫌がらせ、パワハラを行う場合も退職強要に該当します。
懲戒解雇になると脅したり不当な大幅な減給を通達したりすることも、問題となるのでやるべきではありません。
業績悪化や社員の素行の悪さを理由に退職してほしいと考えていたとしても、本人から断られてしまえばどうすることもできないです。
労働者には退職勧奨を拒んで良いという権利があるので、受け入れられなければ継続して実施しないようにするべきだと言えます。

退職勧奨に失敗した上に悪評だけが残ってしまうケースも…

退職強要に当てはまる場合は裁判を起こされるかもしれませんし、裁判を起こされなくても社員に悪い評判を流される可能性があることを理解しておくべきです。
何度も実施されたことや問題となる行為をされたことを発信されてしまい、会社の評判を著しく落としたり、第三者機関から調査が入ってしまったりする可能性もあります。
退職勧奨に失敗した上に悪評だけが残ってしまうというリスクもあり、辞めさせたい社員を退職させることができないだけでなく、新規採用や取引先との関係に影響が出る可能性があることも理解しておきましょう。
辞めさせることに成功したと思っていても、確執が残るようなやり方では数年後に悪評が出てしまうような可能性もあるので注意が必要です。

まとめ

従業員が自己都合で退職してくれたほうが企業にとっては有難いと感じられるかもしれませんが、やり方を間違えてしまうと大きな問題に繋がることがあります。
企業は退職勧奨を実施することができますが、これを成功させるためには特徴や注意点をしっかりと学んでおくことが大切です。
そして、望むような結果にならなかったとしても、社員に圧をかけたり禁止されていることを行ったりしないようにする必要があります。
実施することは自由だと言えますが、検討しているのであれば注意点まできちんと理解してから行うようにしてください。

タイトルとURLをコピーしました