債権回収で重要なポイントを把握

企業法務
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■この記事はこんな人におすすめ

・債権回収の具体的な方法が知りたい
・債権回収の手順が分からない
・債権回収に関して弁護士に相談したい

商品やサービスの取引では、受領者が提供者に対して対価を払います。
サービスや商品を受領した人には、債務と呼ばれる対価を払う義務が発生します。
債権は、債務を負っている人に対して対価を請求できる権利です。
企業間で行われる取引の大半は、商品を提供した後に代金が支払われます。

【関連】債権回収とは?成功のポイントをわかりやすく解説します。

債権回収とは

債権回収とは、金銭債権を債務者に支払わせるための活動を指します。
金銭債権は、債務者に対して金銭の支払いを求める権利です。
商品を販売した後に代金の支払を求める権利は、金銭債権に含まれます。
債務者との関係に問題がなければ、支払期限までに請求書の内容に従って代金が支払われます。
相手側の経済状態が悪化して支払いを拒否された場合は、金銭を支払わせる方法が問題になります。

債権回収の方法

債権回収には、相手と交渉して回収する方法と法的手段により回収する方法があります。
訴訟を起こすと労力や費用の面でも負担が大きくなるため、通常は相手と交渉して回収を目指します。

内容証明郵便を送付する

債権回収では、最初に内容証明郵便を送付するケースが多いです。
期限までに支払いがない場合は訴訟などの法的手段を取る姿勢を示し、相手にプレッシャーを与えます。
自社で内容証明郵便を送っても効果がない場合は、弁護士に依頼します。
弁護士の名前で内容証明郵便を送付すると、プレッシャーの効果が高くなります。
内容証明郵便を送付する場合は債権の金額と根拠、支払期限を記載します。
弁護士から内容証明郵便を送ると、債務者に最後の警告を伝えられます。
対応窓口を弁護士に一本化して内容証明郵便を送ると、債務者が分割支払いを申し出るケースがあります。
既に支払いが遅れている場合は、分割支払いの可能性を確認します。
相手に決算書を提出させて、売上入金の見込みや資金の状況を確かめます。
支払いの意思を確認するために、期限を切って一部の入金を求めます。
債権金額の一部だけでも入金できれば、分割支払いを検討します。
分割の和解に応じる方法と訴訟などの法的手段で支払わせる方法は、選択が難しいです。
分割の合意書を作成すると、相手が期限通りに支払っていれば一括払いを求められなくなります。
分割に応じる場合は、具体的な支払期限や支払い回数を記載した合意書を作成します。
支払期間が長くなると支払いを受けられないリスクが高くなるので、長くても3年までに設定するのが大切なポイントです。
分割の合意書を作成する場合は期限の利益喪失条項や遅延損害金条項、連帯保証条項など必要な条項を入れます。
期限の利益喪失条項は、分割金の支払いが1回でも遅れた場合に残金を一括で支払うことを定めています。
期限の利益喪失条項がないと、分割金が滞納された場合に滞納分しか請求できないです。
遅延損害金条項を入れていると、分割金の支払いが遅れた場合に役立ちます。
連帯保証人を確保していると、分割払いの支払いが遅れても連帯保証に請求できます。
支払が遅れると裁判にある可能性もあるため、合意管轄の条項も付けます。

法的手段による債権回収

内容証明郵便を送って交渉しても相手が支払いを拒否した場合は、法的手段による債権回収に進みます。
法的手段では訴訟が王道になりますが、支払催促や少額訴訟も検討できます。
仮差押えや強制執行についても、早めの検討が必要です。
訴訟の前段階で検討する仮差押えは、債務者の財産を確保する方法になります。
事前に債務者の財産を確保しないと、訴訟で勝っても支払いを得られない可能性があります。
仮差押えを行えば、事前に確保した財産から強制的に支払いを得られます。
実現するには、裁判所に申立書を提出して決定して貰う必要があります。
銀行預金や生命保険、不動産は仮差押えの対象になります。
債務者が個人なら、勤務先から支給される給与も対象に含まれます。
仮差押えの後は訴訟を起こすのが原則で、債務者の法的な義務を裁判所で判断してもらいます。
支払を命じる判決が出されても支払いがない場合は、次のステップに進みます。
判決に至るまでの段階で和解の提案があり、和解調書を作成して訴訟手続きを終了するケースも多いです。
60万円以下の金額を求める場合は、少額訴訟も利用できます。
少額訴訟は1回の期日で審理が終わり判決が出ますが、債務者側から希望すれば通常訴訟に移ります。
支払催促は裁判所が支払いを催促する手続きで、裁判所に行かなくても郵送で必要書面を提出できます。
支払を命じる判決と類似の効力が得られるため、強制執行の段階に進めます。
支払催促に対して債務者が異議を出した場合は、通常訴訟に移ります。

まとめ

訴訟で判決を得ても債務者が支払わない場合は、強制的に債務者の財産から支払いを得ます。
債権回収の最終段階が強制執行で、早いスタートが債権回収率の向上に繋がります。
相手側の支払が遅れた場合は、回収に向けたスタートを早く切るほど確実に回収できる可能性が高くなります。
法的な問題で悩んでいる場合は、弁護士に依頼すると適切な支援を受けられます。

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